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【声明】安保法制に強く反対し、撤回を求めるため、私たちひとりひとりが行動することを呼びかけます。

【声明】安保法制に強く反対し、撤回を求めるため、

私たちひとりひとりが行動することを呼びかけます。

          2015年6月19日

             イラク戦争の検証を求めるネットワーク

 安倍政権は、本年5月14日、安保法制案(戦争法案)を閣議決定し、同15日に国会に提出、現在審議中です。私たちイラク戦争の検証を求めるネットワークは、安保法制に強く反対します。これを撤回するよう、私たちひとりひとりが行動していくことを呼びかけます。

○私たちが安保法制に反対すべき理由

安保法制の問題点は、いくつもありますが、この間、イラク戦争および関連事項を注視してきた立場として、私たちは以下の点を特に問題視しています。

・国連憲章違反の違法な戦争に日本が参加すること

・国際人道法違反の戦争犯罪に日本が共犯となること

後方支援=戦闘行為であり、憲法に違反すること

・対テロ戦争自体がテロを増加させたこと

・平和国家としての戦後70年の財産を失うこと

○国連憲章違反の違法な戦争に日本が参加することに?

 安保法制は、日本が直接攻撃を受けていなくても、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」した場合、「世界のどこででも自衛隊が米国及び他国軍隊とともに武力を行使する」としています。

しかし、米国は、国連憲章に定められた法的な根拠に疑いのある不当な戦争をこれまで幾度も行ってきました。イラク戦争についても、オランダでは独立検証委員会が2009年に「イラク戦争は違法な戦争」と認定。同国政府はイラク戦争の支持を撤回しました。イギリスの検証においても、当時の外務省法律顧問らが大量破壊兵器の査察を求める国連決議1441および、湾岸戦争時の国連決議では、イラク戦争の法的根拠にならないと証言しています。

 しかしながら、安倍首相や岸田外務大臣らは安保法制についての国会質疑において、イラク戦争の違法性を直視せず、「イラクが大量破壊兵器の査察に応じなかったことが戦争を招いた」と答弁しました。これは明確な誤りであり、欺瞞だと非難されるべきものです。

私たちが2010年に主催した国会議員と市民の共同勉強会で、ハンス・ブリクス元UNMOVIC(国連監視査検証査察委員会)委員長は「開戦直前までイラクで700回に及ぶ査察を行った。その上で、大量破壊兵器は一切見つからなかったと国連安保理にと報告した」と証言しています。

 イラク戦争がもたらした人道危機はあまりにも悲劇的なものでした。英NGO「イラクボディ・カウント」によれば、報道された民間人の犠牲者は約15万8000人(2015年6月現在)、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学とイラクのムスタンシリア大学による共同調査による推計(2006年10月)では「65万人以上」とされています。

イラク戦争が産んだ宗派間対立やISIL(いわゆる「イスラム国」)の脅威などにより、現在もなお、約300万人もの人々が国内避難民として、厳しい環境での避難生活を余儀なくされているのです。

このようなイラク戦争の違法性や、その結果に対し、日本政府が目を背け続け、安保法制も可決・成立されるならば、今後、米国と共に日本も国連憲章違反の違法な戦争を行うことになり、新たな人道危機をもたらすことになってしまうでしょう。

○国際人道法違反の戦争犯罪に日本が共犯となることに?

 戦争であっても、国際人道法は守ることが求められており、これに違反するものは戦争犯罪です。イラク戦争において、米軍は多数の戦争犯罪を行ってきました。例えば、

・クラスター爆弾や白リン弾などの非人道的兵器の使用、劣化ウラン弾等による放射能

汚染の拡大

・ファルージャやラマディ等の都市を包囲しての無差別攻撃、それにともなう集団虐殺

住宅や学校など民間施設の大規模な破壊、女性や子どもなどの民間人に対する狙撃

病院や救急車への攻撃

・不確かな情報による令状なしの拘束、収容所での性的なものを含む拷問や虐待と致死

・家宅捜索を行ったイラク人家族の集団殺傷

・イラク人女性や少女への性的暴行

報道関係者の不当逮捕や殺傷

などが報道や人権団体の報告などから、確認されています。安保法制では、米軍などへの後方支援、つまり、兵員や物資の補給などを行うものとされています。安保法制によって、今後米軍が戦地で犯す戦争犯罪に、日本が共犯となる恐れがあるのです。

 上記のような戦争犯罪にかかわることで、米兵たちもまた、良心の呵責から精神疾患に苦しんでいます。米国防総省によれば、アフガン・イラク戦争の帰還兵たちは現在も1日平均22人がPTSDなどにより自殺しています。今後、自衛隊が米軍の武力行使と一体化した場合、自衛隊員もまた、現地の非戦闘員である一般市民を殺害し、そのことによりPTSDなどの精神疾患を患うことになるかもしれないのです。

○後方支援=戦闘行為であり、憲法に違反します!

 安倍首相は安保法制閣議決定の会見で、「後方支援は集団的自衛権の行使ではない」と主張しましたが、誤りです。兵員がいなければ、武器弾薬がなければ、戦争を遂行することは不可能です。軍に対する後方支援は兵站支援であり国際法上の武力行使にあたるというのが国際的に一般的な解釈です。

また、戦争の現場では後方支援は戦争行為とみなされ攻撃の対象になることは避けられません。自衛隊イラク派兵差し止め訴訟においても、2008年4月、名古屋高裁は武装した米軍兵士やその物資を運搬するという航空自衛隊の活動は、米軍による一般市民の殺戮行為、民家への爆撃、家宅捜索・襲撃等々といった武力行使と一体化しているとし、こうした活動は違憲であるとの判断を示しました。

 後方支援は集団的自衛権行使ではないという主張は、「戦闘行為だけど戦闘行為ではない」というようなものであり、米軍等への後方支援は戦争行為を禁じた憲法9条に反します

○対テロ戦争がテロを増加させた!

 アフガン戦争やイラク戦争など米国が主導する対テロ戦争が始まって以来、各国で大規模なテロが発生しています。2004年3月にはスペインで列車爆破テロ、2005年7月にはイギリスでバス地下鉄同時爆破テロ、2013年4月には米国でマラソン会場での爆破テロが起きました。

そして、イラクやシリアでは対テロ戦争による混乱の中、ISIL(いわゆる「イスラム国」)が台頭しました。その中心メンバーはイラク戦争でその地位を追われたサダム政権の軍人たちです。英紙「ガーディアン」のインタビューに応じたISILの幹部は「ISIL指導者バグダディは米兵による捕虜虐待が横行していたイラク南部のブッカ刑務所でその過激思想を培った」と語り、「米軍の刑務所がなければISILは誕生しなかった」とまで述べています。

対テロ戦争は、テロをなくすどころか、テロを蔓延させたのです。こうした結果を日本が顧みず、米国の戦争を支援するならば、テロの脅威はますます深刻なものとなるかも知れません。

○平和国家としての戦後70年の財産を失うのではないか?

 戦後70年にわたり、日本は平和国家の道を歩んできました。自衛隊が海外に派遣されることがあっても、現地の人々を直接殺傷することはありませんでした。また、優れた日本の製品や技術の評判もあいまって、中東では長らく親日的な人々が多かったのです。日本は政治的に中立な国とみなされてきました。

しかし、イラク戦争支持や自衛隊イラク派遣に伴い、日本人が襲撃されたり、誘拐されたりするようになりました。現地スタッフの安全への配慮から、日本からの人道支援物資を、日本からの支援だと言えない時期もありました。

安保法制により自衛隊が海外で武力行使をすることになれば、日本の人道支援関係者やビジネスマンたちが築いてきた信頼は失われ、日本の一般の人々にも敵意が向けられることになりかねません

◎必要なのは安保法制ではなく、真の「積極的平和」です。

 安全保障とは、軍事だけによるものではなく、外交や経済的なつながり、国としての好感度や信頼度など総合的な努力によって担保されるべきものです。米国の戦争に日本が協力する安保法制はむしろ日本にとって大きなリスクとなり得ます。

安倍政権の主張する「積極的平和主義」と平和学における「積極的平和」とは相容れないものです。アフガニスタンでは本土に軍を派遣せず民生支援に徹した日本への信頼が最も高いというNGOの報告もあります。また日本は軍を派遣しなかったために紛争の当事者とみなされなかったために和平交渉の仲介役を期待されていたともいいます。

平和学における「積極的平和」とは、戦争をなくし、また抑圧や貧困、環境破壊などの構造的暴力もなくしていくというものです。日本国憲法前文の「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という理念を具体化することこそ、混迷する世界情勢をよりよい方向へ導き、ひいては日本の安全保障にもつながることになるのです。

以上のことから、私たちは安保法制に強く反対し、これを撤回するよう政府に求めます。そして、安保法制を止めるために、ひとりひとりが声をあげ、行動していくよう広く呼びかけます。

イラク戦争の検証を求めるネットワーク

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