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【声明】集団的自衛権の閣議決定とイラク戦争における政府の行為に関する声明


私達、イラク戦争の検証を求めるネットワークは、今月1日、政府が集団的自衛権行使の閣議決定を行ったことに対し、強く抗議し、直ちに閣議決定を撤回することを求める。この度の閣議決定は、政府の権力は憲法によって制限されるという、立憲主義に著しく反するものである。また、憲法は憲法の規定にもとづいてのみ変えられるのであり、国会での審議と国民投票も無しに憲法で禁止されている海外での武力行使を閣議決定で認めることは憲法の破壊行為以外のなにものでもない。

安倍首相は、1日、会見の中で「自衛隊がイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない」と語ったが信頼に足る説明ではない。第一次安倍政権時、安倍首相は、航空自衛隊のイラクでの活動をめぐる国会質疑で「人道復興支援のため」と説明していた。しかしその後の情報開示で、輸送人員の6割以上が米軍を中心とする多国籍軍兵士であり、武器や弾薬も輸送していたことが明らかにされた。このことは2008年4月17日、名古屋高等裁判所の判決で事実認定されたように、米軍の活動と一体化した武力行使であった。

日本は、米国の情報を鵜呑みにしてどこの国より早くイラク戦争を支持し、自衛隊も派遣

した。安倍首相は、このことについて今年5月28日、衆議院予算委員会での集団的自衛権をめぐる質疑において「大量破壊兵器が無いことを証明できるチャンスがあるにも関わらず、それを証明しなかったのはイラクであった」と答弁している。イラクの大量破壊兵器に関する情報については、当の米国ですら、上院の特別情報委員会で2004年と2006年に検証を行い、その間違いを認めている。なによりも、イラク戦争自体が国連での武力行使容認決議を得ない、違法な戦争であり、オランダやイギリスでのイラク戦争検証でも、そのような認識が確認されている。米国の言いなりとなり、国際法上、違法な軍事行動を支持・支援したことを認めず、その検証すら行わないのであれば、また同じ間違いを繰り返すだけである。

集団的自衛権の行使の必要性を説くのであれば、まず自身が国会答弁等で日本の市民を欺いたことを謝罪し、イラク自衛隊派遣で何が行われたかの情報開示、検証を行うべきである。

イラク戦争においては、少なくとも11万人以上の民間人が犠牲となり、現在もなお、大変な混乱の中で、人々は苦しみ続けている。とりわけ、昨年末から今年6月までの西部アンバル州での人道危機、そして現在、イラク北部・中部における戦闘は、この間のマリキ政権による宗派差別、不当拘束や拷問、暗殺などの人権侵害が大きな原因となっている。日本も、マリキ政権に対し670億円の円借款を行うなど、現在のイラク情勢の混乱と無縁ではない。日本政府がイラクでの宗派、民族の融和を働きかけず、「対テロ」の名の下の一般市民の殺害、病院などの公共施設の破壊を正当化するマリキ政権のみを支持・支援するのであれば、米軍のイラクでの数々の国際人道法違反を支持・支援してきた反省がまるでないとの誹りを受けてしかるべきであろう。

今、日本が行うべきは、暴力と破壊を肯定し、他国の武力行使と一体化することではなく、日本国憲法の理念に基づいた平和外交である。戦後、日本の平和主義は、国際社会での賞賛と尊敬を受けてきた。そのような背景の中で、日本のNGOやボランティア達は、自衛隊や政府の活動が困難な地域でも、現地の人々と力を合わせて活動を続けてきたのである。こうした平和外交による国際的な信頼こそ、真に日本の人々の安全に寄与するものであり、その財産を失ってはならない。

よって、私達、イラク戦争の検証を求めるネットワークは、政府に対し、以下を求める。

・集団的自衛権の行使容認を閣議決定を即刻に撤回すること。

・イラク戦争の支持・支援および、自衛隊イラク派遣について、検証を行うこと

・マリキ政権やイラクの諸勢力に対し、宗派や民族の融和、暴力の停止を訴えること。

・イラク戦争による戦災、現在も続く混乱の中で傷つき、その生活を破壊された

イラクの人々に対する、支援を行うこと。

以上

2014年7月5日

イラク戦争の検証を求めるネットワーク

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